第188章 母親が来ないなら、父親も来ない

長谷川栞の疑問には、きっと答えなんてない。

どれだけ走っても、後ろの車はずっと同じ距離でついてきた。長谷川グループの駐車場へ入る、その瞬間まで。

自分専用のスペースに車を入れ、栞は反射的にバックミラーを覗く。けれど、さっきまで確かにいたはずの見慣れた車は、もう影も形もなかった。

――そうだ。

以前、自分で命じたのだ。警備員に、彼を中へ入れるな、と。

今ごろ門のところで止められたのだろう。……それでいい。むしろ、そのほうがいい。

そう考えながら視線を落とした栞は、ふと助手席に置かれた朝食の袋に気づいた。

しばらく黙っていたが、結局、手を伸ばしてそれを取る。

お腹が空いていただけ...

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